ご挨拶 | AAMTについて

会長メッセージ

会長・隅田英一郎近影

 2018年6月にAAMT会長の職を拝命した隅田の初心を表明させていただきます。

 AAMTは、2年半後の2021年4月にちょうど30歳となるところですが、その誕生から今日までの間、機械翻訳技術の重点は、ルールベース翻訳にはじまり、統計翻訳を経て、ニューラル翻訳へと入れ替わりました(下図参照)。

機械翻訳技術の変遷

 日本語と英語との対では、残念ながら、ルールベース翻訳、統計翻訳は広くは普及しませんでした。日本語と英語との対は人間にも翻訳が難しい言語対ですから、機械にとっては尚更難しい。機械翻訳の精度は当時不十分で広く導入するには時期尚早でしたが、誤訳をプロの翻訳者が正す仕事(ポストエディット)が多数行われました。当時のポストエディットは効率が悪く、翻訳者と翻訳会社にとってトラウマとなりました。研究者の努力で翻訳精度は上昇し続けましたが、機械翻訳に対する否定的な意見を払拭するには至らず、改善率も鈍り、翻訳精度は天井に近づきつつあるように思われました。

 2016年に登場したニューラル翻訳は、天井かと思われていた翻訳精度を軽やかに越え、今までの機械翻訳と180度異なる福音をもたらしています。例えば、貿易の基本である英文ビジネスレター作成や高精度が必須である特許翻訳を大きく効率化し、結果として残業時間削減や有給休暇消化率の改善等、関係者の働き方を改革しつつあります。また、論文・特許の多言語検索サービス、技術情報配信・電子商取引・各種予約の多言語化、インバウンド向け音声翻訳のアプリや専用端末等の多数の活用事例が出ています。
 ニューラル翻訳技術には、対訳データの着実な蓄積や世界中の研究者の競争による活発なアルゴリズムの改良という強力な推進力がありますから、翻訳精度の改善は続き、幅広い分野で活用されていくでしょう。

 まるで「桜」の休眠打破のように、機械翻訳は、花芽のまま長い厳しい冬を経験し今まさに春が来て開花しようとしています。
「機械翻訳の研究開発者と機械翻訳を活用する人々」が交流し連携する目的で設立された本協会は、機械翻訳普及の加速に最適な組織です。
2018年6月の総会で選出された理事の方々とともに一丸となって一挙に言葉の壁を破壊したいと思います。
よろしくお願いいたします。

AAMT会長 隅田英一郎

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Last Update : 5 Nov. 2018