Asia-Pacific Association for
Machine Translation

講演会 畠中伸敏氏

「機械翻訳システムによる知的活動の推進」

キヤノン株式会社 畠中 伸敏

 海外交信の効率化を目的に機械翻訳システムの社内利用を90年代より推進してきた。機械翻訳の企業利用の問題(精度、管理)に対して、翻訳知識構築(辞書開発など)による翻訳精度の向上とシステム利用インタフェースの改善(クライアント化、Web化)を実施した。初期の数名程度の利用から350名の利用へと利用形態の変化とともに拡大してきた。ユーザ利用状況の分析の結果、利用頻度の高いユーザには、海外交信を日常業務とする事業企画部門、サービス部門などが多い。業務プロセスの変革としては、プロからアマへと使用セグメントが変化し、機械翻訳の利用により即時性の要求に対応できる、業務時間短縮によるより創造性の高い業務への集中などの効果がある。

 ところで機械翻訳のキヤノンでの取り組みは複写機のサービス部門の辞書と翻訳知識の整理から始まった。一つの分野で利用されるために多大の時間と労力を要したが、現在、複写機事業の一部門に留まらず、他部門を巻き込み全社へと展開している。丁度、このことは屋根に瓦を一枚ずつ敷く作業に似ている。一枚の瓦から始まり、やがて屋根は瓦で覆い尽くすことになる。


講師:畠中伸敏(ハタナカ ノブトシ)
キヤノン株式会社 情報通信システム本部K/Mシステム(ナレッジマネジメントシステム)課長

hatanaka@eastcom.ne.jp

 1977年キヤノン(株)に入社し、以来、情報通信システムと人工知能関係の研究及び開発に携わる。1986年ソフトウェア評価研究室室長、1991年知識工学課課長を経て、K/Mシステム 課長にて現在に至る。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)運営委員会委員長(日本科学技術連盟)、TRG(TQC Research Group)幹事会委員(日本科学技術連盟、1991年4月〜1995年3月)
 キヤノンの中における機械翻訳システムの導入と構築を早くより行ない、業務改善の実績を上げる。近年は営業やサービスなどの活動により蓄えられた大規模文書データからの知識発見の方法の研究と開発に従事する。

著書:今野 勤・畠中伸敏共著『顧客満足システムの構築』(日科技連出版社、2002年)
受賞歴
 2000年度 日本品質管理学会 品質技術論文賞「戦略的方針管理におけるコア・コンピタンスの獲得を最大にする組織形態」
 2002年度 言語処理学会年次大会 優秀発表賞 富士 秀 畠中伸敏 他共著「機械翻訳システムの有効性の評価」
 2002年度 日本品質管理学会 品質技術論文賞「競争優位性の時間的変化の評価指標と戦略的方針管理での活用」
以上