Asia-Pacific Association for
Machine Translation

講演会 石田 亨氏

「日中韓馬異文化コラボレーション実験の経験」
-母国語を用いたオープンソースソフトウェア開発-

京都大学教授 石田 亨

言語の壁を克服するコラボレーションを目指して,京都大学社会情報学専攻,科学技術振興事業団,NTTコミュニケーション科学基礎研究所の共催で,日中韓馬の異文化コラボレーション実験(Intercultural Collaboration Experiment 2002(ICE2002))を行った. 実験のタスクは,多国籍チームによる母国語を用いたオープンソースソフトウェアの共同開発とした.この実験では,機械翻訳技術を「共通の目標を持つ多言語間のコラボレーション過程」に適用した.研究のアプローチの特徴は,人々と機械翻訳システムとのインタラクションを観察し,機械翻訳技術の新たな利用を見出そうとするところにある.

私たちが住む東アジアでは,言語の壁が,アクセスの機会平等や,相互理解促進を阻んでいる.東アジアのように,隣国の言語を教育されない国々により構成される地域にとっては,言語バリアは深刻な問題である.世界共通語とされる英語で,高度かつ論理的な議論を行うことも,東アジアの多くの人々にとっては難しい.多言語のコミュニケーションを情報技術によって支援する,機械翻訳やコラボレーション技術を駆使して言語バリアを乗り越えるという実験は,こうした背景から生まれた.


講師:石田 亨(いしだ とおる)
1976年京都大学工学部情報工学科卒業, 78年同大学院修士課程修了. 同年日本電信電話公社電気通信研究所入所. 横須賀研究所においてソフトウェア工学, 知識処理などの研究開発に従事しました. 1993年に京都大学工学部情報工学科教授. 現在, 京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻教授. 工学博士. IEEE Fellow. 人工知能, コミュニケーション, 社会情報システムに興味を持っています. 米国コロンビア大学計算機科学科客員研究員, ミュンヘン工科大学, パリ第六大学, メリーランド大学客員教授を経験しました. また, 1998年よりNTTコミュニケーション科学基礎研究所のリサーチプロフェッサ, 2002年より上海交通大学の客座教授を務めています.

主に自律エージェントとマルチエージェントシステムの分野で活動してきました. 現在はデジタルシティ, 異文化コラボレーション, セマンティックWebの研究を進めています. 1993年人工知能学会論文賞, 1996年人工知能学会10周年記念論文賞を受賞. 学会活動としては, International Conference on Autonomous Agents and Multi-Agent Systemsの創設に参加し初回の大会委員長を務めました. 現在, Kluwer社の論文誌Autonomous Agents and Multi-Agent SystemsのAssociate Editor, Elsevier社の論文誌Web SemanticのEditor-in-Chief , 情報処理学会と日本社会情報学会の理事を務めています.
以上