A
sia-Pacific Association for
 M
achine Translation

AAMT講演会:公演内容について
(講演者:阪大 成田一 先生)

機械翻訳の言語的基盤

-多段階統合翻訳により人間に迫る-

 機械翻訳の翻訳能力を検証する場合、機械翻訳が「何を対象にどういうことをするのか」を 改めて考える必要がある。翻訳対象としては言語対と言語データのジャンルが問題になるし、 作業としては(言語対とも相関するが)どの程度の言語レベルでの処理(浅い処理か深い 処理か、文体処理はどうか)か、(曖昧な語や修飾関係などについて)知識情報へアクセス するか、文脈処理をどうするか、それに代わる手段はあるのか、などの問題がある。 日英語など構造が全て反対の言語では、そうした問題が翻訳上の難関になるが、英欧語、 日韓語など構造が近い言語ではそうした問題が回避でき、高い翻訳精度となる。さらに、 日本語らしい表現、主語無し文への対応といった言語処理上の問題もある。

 また、機械翻訳は本来「文法ルールと辞書情報」から構成されるが、最近では「用例 パターン翻訳」や、ローカライゼーションに対処するために(過去の翻訳結果を蓄積した 対訳データを利用する)「翻訳メモリー」を組み込む傾向があり、そうした技術を総合した システムをいかに活用できるか有効な方策を立てなければならない。この講演では、 そうした問題について言語的な基盤を踏まえ多角的かつ具体的に対応戦略を論じる。


* 講師:成田一(なりたはじめ)

大阪大学教授:英日対照構造論・機械翻訳:narita@lang.osaka-u.ac.jp

 言語の構造的側面に深い関心を寄せ、日英語の種々の文法現象を研究。

内外の翻訳システムの翻訳能力を独自の「構造処理能力の評価法」によって検証し、 言語処理上の問題点と解決法を提案。日本電子工業振興協会の「機械翻訳システム調査専門委員会」「自然言語処理技術委員会」の学術委員を歴任(1989-95)、情報処理学会「自然言語処理研究会」委員(93-95/98-01)、国内外の学会のセッション座長など務める。

 雑誌『日経PC21』、『ダイム』、『日経パソコン』、『読売ライフ』、朝日新聞 「週刊YOU・MEジャーナル」 、週刊新潮のインタビュー記事のほか、日本経済新聞「時論自論」(94)、 『Professional English』(バベルプレス)の長期連載「翻訳ソフトこんなに使える!」 (94.10-96.6)、『言語』大修館(「言語学フロンティア」97.4)、『AI JAPAN』(白夜書房)の特集 「機械翻訳はどこまで人間に迫れるか」(00.1) 、『CAT』(アルク:「機械翻訳の限界に挑む」00.6)、 『日経WebCOMPANY』の「グローバル・コミュニケーション・ツールとしての翻訳ソフト」(00.10)、 さらに「人間に迫る機械翻訳」(英日・日英翻訳国際会議)(00.5)、連続講演「機械翻訳の世界」 (近畿ニューメディア推進協議会)(00.11-12) ほか多数の公開講演でも啓蒙に努めている。 機械翻訳関連の主な著書として、『こうすれば使える機械翻訳』(編著)バベルプレス(1994)、 『パソコン翻訳の世界』講談社(1997)がある。