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インターネットで世界が繋がり、言語の異なるコミュニティとの情報交流も盛んになっています。しかし誰もが多くの言語を自在に操れるわけではありませんから、いわゆる言語障壁が大きな問題となります。言語障壁の解消を目指して、より高精度の機械翻訳システムの実現や、機械翻訳システムの活用法の確立が求められています。
機械翻訳システムを取り巻く環境としては、近年、大量の言語資源が利用可能となり、計算機のパワーも増大しました。これにより、より実用的な機械翻訳システムを開発できる可能性が高まっています。また、パッケージソフトをパソコンにインストールして使うといった使い方だけではなく、ホームページでの翻訳サービスのような新しい機械翻訳の使われ方も現れ、機械翻訳のユーザを広げています。
翻訳は言葉の違いを繋ぐ輪の役割を果たしますが、アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)は、さらに二つの輪を結びたいと思います。一つはアジア太平洋機械翻訳協会の名が示すように、アジア太平洋の国々における機械翻訳関連の活動を支援し、繋げていこうと思います。ご存知のように、アジア太平洋機械翻訳協会は1991年の設立以来、日本を中心にその活動を進めてきました。機械翻訳システムの開発のブレークスルーが予想される今、よりアジア圏全体に開かれたAAMTとするために、まず中国に China Branch の設置を目指します。
もう一つの輪として、AAMTは、さまざまな場面で機械翻訳に関わっている方々が、相互に交流できる場を目指します。開発された機械翻訳システムも使われなくては意味がありません。システムを開発する人とシステムを使う人との両輪で翻訳という知的作業が実現されます。AAMTは、この両輪を繋いで、機械翻訳システムが実際に広範囲に使われる環境の構築を目指します。
究極の機械翻訳システムは何でしょうか?そのひとつの方向は機械翻訳の存在を意識しない環境の実現でしょう。ネットワークや検索システムに組み込まれて、自然と多言語の世界を彷徨できるような環境の構築が考えられます。また、言語で記述された事柄だけを翻訳するのではなく、身振りや表情などの非言語情報を翻訳したり、さらには知識を直接変換するようなシステムの開発も新たな方向として考えられるでしょう。
人は、その知的活動や、感性の処理の多くを言葉によって行っています。AAMTは、このような人の活動の中核をなす言語を用いた情報交換を支援するシステムとしての機械翻訳システムの開発と活用を支援していきます。今後とも、皆様のご協力の下、言語障壁の克服に向けた活動を進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
AAMT会長 井佐原均
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